「……っよし」
「あら、隼人何処にいくの?」
「髪切りにいくの!」
「そんなにめかしこんで?」
「いってきます!!」


 母親が何か言うのも聞かずに俺は飛び出した。
 だって月に一回、あの人に会える日だ。
 高校でずっとやっていたギター。
 凄く楽しくて大好きだけれど、それでもモテる事は一度もなかった。
 それでも、ジュンやナツキ、シキと会って過ごした日々はオレにとっての宝物だった。とてもキラキラとしたまるで宝石のような。
 でも、そんな時間も三年間で幕を閉じた。
 卒業して、それぞれが学力に見合った大学に入って。
 旬と夏来は難関大学へ、俺はそこそこの大学に入った。
 大学デビューをするんだ!!と決めて、新しい美容室に行く事に決めた。
 けれど、どこに行けばいいのかと思っていると「御兄ちゃんの美容室に行ったら?」とお母さんが言ってきた。


「…兄貴の?」
「そう、ねぇ、お兄ちゃん、隼人連れて行ってあげてよ」
「……」
 無愛想な兄がこちらを向いた。
 昔は仲が良かった筈なのに、いつの間にか出来た溝。
「隼人を?」
「そう、格好良くなりたいんですって」
 ふふふと笑う母親に対して、俺を見た時「お前じゃ七五三がいいところじゃないの」と言われて頭が来た。
「別に!!兄貴のところなんて行かなくていいし!」
「隼人!!」
「一人で見つけられるから良い!」
 なんであの人はああいう言い方しか出来ないんだ、とイライラしながら俺は適当に歩く。
 かといって当てがある訳じゃない。
 いつも歩いていく方向とは逆にどんどん進んで行くと、なんだか見えない場所にたどり着いてあ、まずいと思ったらもうダメだった。
「……ここ、どこ…?」
 あたりを見渡せど、知っている建物も看板もない。
 どうしようか、と思っていると、音の外れた鼻歌が聞こえてきた。
「……」
 戸惑っている中、下手糞なその鼻歌に俺は何故か引き寄せられた。
「どーなつ、どーなつ♪」
「……」
 なんでドーナツの歌なんだろう?と思いながら、道を聞こうと思って声をかけようとした瞬間、オレンジ色の頭に綺麗な桜の花びらが舞い降りた。
 そして、
 ゆっくりとその人の顔がこちらを見た。
「……」
 翡翠色の瞳がこちらを見て微笑んだ。
「……お客さん?」
 箒をもっていたその人は本当にイケメンで見るからに女の人にモテそうだった。
「え、えっと……」
「なんだ、理容室の客じ
ゃねえの?」 「え?」
 指さされたくるくると白、赤、青のサインポールが回っていた。
「……そ、そうです!」
「……」
「いや、そうなんだけど、そうじゃないっていうか…えーっと……」
 何から話したらいいのだろうかと思ってると目の前のイケメンがくすりと笑った。
「今、店長いないし、休憩時間だからもしよければ中に入って」
「え……でも」
 休憩時間なら悪いのではないかと思ってると「いいのいいの」と笑って扉を開いた。
「掃除が適当に終わったら休憩していいって言われたしさ、ドーナツ好き?」
「好き、だけど…」
「なら一緒に食おうぜ!」
 綺麗な顔をしたその人について、何でもないような事を話した。
「へー…」
「昔から、兄貴は何でもできて、俺は出来なくって……でも、少しでも変えたくて」
「それで髪の毛を?」
「……」
 こくりと頷くと馬鹿にされるかなと思ったけれど、目の前の人は笑った。



「切ってやろうか?」
「え……」
「こう見えてもそこそこ腕はいいんだぜ」
 にこりと笑うその人に頷くと、そのまま椅子に座らせられてカットクロスをつけられる。
 長い指先が俺の髪の毛に触れた。
 なんだかむずがゆいけれど、柔らかく触れるその仕草に何故かドキドキしながら、ハサミが髪の毛を切る音がした。
「……でさー」
 話しかけてくれるのに、上手く話せなくてでも胸はドキドキしぱなしだった。
 心地の良い声が耳に届くたびにモテる男の人ってこういう人なんだろうなと心から思った。


「ただいま〜……って何やってるんだ、若里ぉ!」
「げっ」
 そんな事を思ってると扉を開く音と共に怒鳴り声がした。
「お客様すいません、こいつまだ入ったばかりの新人で…」
「新人?」
「本当にすいません。代金は―――」
「あ、あの」
「……っ…何でしょう」
「俺、その人に切ってもらいたい、です」
「え……」
 そう言うと、店長と呼ばれる人とさっき髪の毛を切ってる人が顔を見合した。
「ダメ……かな…」
 そう聞くと、店長は少しだけ困った顔をして、でも、最後には許してくれて、さっきの彼は隼人の髪の毛にまた鋏を入れた。


「ありがとうな!」
「う、ううん」
「名前、聞いても良い?」
「は、はやと。秋山隼人」
「ハヤト」
 そう名前を呼ばれると更に胸が締め付けられるように苦しくなった。
 なんでだろう。
「ハヤトはオレの一番初めのお客さんな」
 そう笑った彼の声にどきっとした。
 イケメン相手だから緊張してるんだろうか、と思いながら声を聞いていた。
「はい、終わった」
「……」
 切って貰って鏡を渡されて後ろを見て「どう?」と言われた時はただ頷いてるだけで、自分の髪の毛がどうなってるかなんて考える余裕はなかった。
 春名、と呼ばれた名前と彼の胸元にあるネームプレートに書いてる『若里』という字で彼の名前が解った。
 聞けば良いのだろうけれどもなんだか聞くのは照れくさくて、
「ありがとうございました」
「あ、いえ……あの」
「うん?」
「……あの、×××まで行く道って……」
 隼人はそれでもまたこの人に会いたいなぁと思いながらその日は夢うつつのまま家へと帰った。



「お帰りなさい、あら」
「……ただいま」
「あらあら、凄く髪の毛格好良くなったわね」
「うん」
 母親にそう言われるのも心ここにあらず。
 俺はまたあの人に会いたいなぁとずっと思っていた。
 かといって髪の毛が伸びるのは大体一ヶ月くらい。
 それまで会いに行くのはおかしいし、と思いながら隼人はベッドで横になって、ひらひらと桜の花びらが髪の毛に舞っていた彼の事を思い出していた。



 そしてあれから一ヶ月。
 隼人は少しだけおしゃれをして、彼に会いに理容室へと向かった。
 今日はいるだろうか、いたらいいなと思いながら、とっくに葉桜になってしまった木の近くのお店へと向かう。
「……っ」
 するとまた下手糞な鼻歌を歌って、箒で掃除をしている彼が見えた。
 背中に向かって隼人は駆け出すように走り出す。
 そして、


「あ、あの、髪の毛切って貰えますか!?」


 どきどきしながら、ちょっと上ずった声で彼に話しかけた。


 一ヶ月に一度。
   財布を持って会いに行く。
 顔を見れるだけでなんだか元気になれる。
 会うだけで一ヶ月間少しだけ頑張れる、そんな魔法みたいなもの。
 あんな風になれたらモテるんだろうなぁと思ってしまう。憧れのような存在。
 手の届かない、そんな人だった。
 だから解ってた。


「え、今日、若里さんお休みなんですか?」
「ああ、隼人君知らなかったっけ?」
「……」
 春名より少し年上の男性店員さんがそう言ってくれる。俺がしょぼんと落ち込んでると、
「もしよければ俺が髪の毛切ろうか?」
 と整った顔の店員さんが笑ってくれる。けれど若里さんに切って貰いたくて来たのだから、と思い「また今度きます…」と隼人は呟いて店を後にした。
 どうしよう、と思いながら俺は溜息を吐いてしまって、なんとか落ち込んだ気持ちを浮上させようと顔を上げて、駅前のゲームセンターにでも行こうかと足を向ける。
 新しい台が入ったらしいから、音ゲーをやるのもいいかもしれない、と思っていた時に声が聞こえた。


「……ハルナ!!」


 知ってる人の名前。
 つい顔を向けてしまった。
「……悪い悪い待った?」
「ううん、今来たところよ」
 やわらかなウェーブがかった長い髪の毛。
 優しそうな笑顔を浮かべた若里さんよりも年上の女性。
 自然に並んだその姿は凄くお似合いで、恋人同士なんだろうなというのはすぐに解った。
「……」
 自分に気づくことなく歩いていく。
 それが当たり前なのに胸が苦しくて痛んでしょうがなかった。
 俺は気がつけば家に戻っていて、母親が挨拶してくれたのに返す言葉もなくただぼーっとしていた。
 そうだ、髪。
 前髪にそっと触れた。
「……」
 机を見れば鋏が置かれていた。
 俺は何気なしにそれを触って、
 ああ、前髪が伸びてたんだと思って、そして―――



 耳にジョリという独特な音が聞こえた。
 床に髪の毛が少しだけ落ちる。
 気にせずに、少しずつ切って、切って、切って、切って、切って、切って切って切って切って切って切って切って切って、切って切って、全部なくなれ。全部忘れてしまえばいいと、切って切って切って切り続けた。
 手が痛くなって、鋏を握ってる力がなくなってしまってそのまま床に落ちた。



「……っ」
 ぽとり、と同時に涙が溢れ出た。
 なんで、どうして、こんな、
 こんなどうしようもなく胸が苦しくて、何かを失ったような気持ちになるんだろう。
 なんで、自分はこんなにショックを受けてるんだろうか。


「……っ」  


 訳もなく流れ出た涙がどうしようもなく、止まらなくて、ただただ、どうしたらいいのか解らなかった。


「……」
「春名〜、まーった窓の外見て」
「い、いや、別に……」
 なんとか高校を出て、さーてそれじゃあ就職、となった時に特になりたい仕事もなかった。どうしたらいいだろかと思っていたら母ちゃんが「あんたはヘアメイクが上手なんだから、美容師にでもなったら?」と言われた。
 勿論初めは断った。
 だって、専門学校は2年。しかもかなりお金がかかる事は解っていた。
 それでも、手に職がついてないよりはよほどいいからと言われて、母ちゃんに言われるがままにバイトをしながら2年間頑張って資格を取って、どこに勤めたらと思っていたら知り合いの理容師の叔父さんが雇ってくれると言ってくれた。
 そして、迎えた最初の日。
 あの子が現れた。
 


 はにかむように微笑んだその顔が忘れられなくて。
 本当は店長がいない時に切ったらいけないと言われたたけれども、つい自分の色に染めたくなるような何かをその子は持っていた。
 それでも切ってしまえばそれで終わり。
 もう会わないかもしれないと思って忘れようと思っていたけれど忘れられなくて、彼の事を思っていたら、一ヶ月後、彼は髪を切りにきてくれた。
 あの、可愛らしい笑顔と一緒に。


「……」
 それから毎月来てくれて。
 それで良かった、…はずだったのに、今更、思い知らされた。
 オレは、何もあの子の事を知らないんだって。あの子が会いに来てくれるから成り立っていた関係。
 会いたいと思ってもオレからは会いにすらいけない。
 毎回オレに切ってほしいと言っていたのに、別のところに行ったんだろうか。
 店長が言うには別の店員にはオレがいる時にまた来ると言ってくれたらしいが、それでももしかするともう別の店を見つけてるかもしれない。
 それは―――



「嫌だ、な」




 秋山隼人。
 大学生で、ひとつ年上の兄がいて、ジャムパンが好きで、ギターやっていて……色々教えてくれる事は知ってるけれど、それでも知らないことだって多い。
 もしかしたら恋人がいるかもしれないし、好きな子がいる可能性だってある。
 そう考えると胸がまるで針金のように痛んだ。



 何だろう。
「春名!」
「え」
「指定だぞ!」
「っ」
 

 その言葉に隼人かもと思ったけれど違っていて、気分が沈んだ。



「どうした、春名」
「いや…別に…」



 いけないいけないと思いながら、それでも頭の中は隼人のことばっかりだった。
 あのキラキラとした星をちりばめたような綺麗な瞳が見たい。
 初めて見た。
 あんな風に誰かをまっすぐに見る人。
 オレよりもずっと弱く見えるのに、あの瞳には力があった。綺麗なものしか見てきてないような、そんな眸なのに。
 なぜだろう。
 あの瞳で見つめられたら、少しだけ自分が真っ当になったように感じる。
 まるで自分も綺麗なものになったように勘違いしてしまう。
 前を見る、あの夢を秘めた瞳には言い表せない強さがあった。
 オレが手に入れたくても入れられない、そんな何かが。
「……」
 あの瞳を思い出して、改めて、隼人に会いたい、と強く願った。



 かといって、そんなすぐに会えるわけじゃない。
 さりげなく遠くのコンビニに行ったり、駅の前で探したりとかいろいろしたけれど、隼人に逢うことは出来なかった。
 隼人が来ますと言って10日間くらい経過した頃だった。



 休日でドーナツでも食べようかと町に出ようと駅へと向かった時だった。
 人気のない裏通り。
 そこでオレは、
「……隼人」
 ずっと探していた人を見つけた。
 暗い顔をして、どこか行こうとしているその姿を見て声をかける前に


「……若里さん?」


 オレは隼人の手を逃げられないようにと、握りしめていた。
「……髪の毛」
「……え?」
「髪の毛、切った?」
 知らない誰かに切られたのかと思うと胸が痛んだ。
 どうして、こんなに。
 だって、隼人の髪の毛は、オレの、
「……あ…自分で」
「……なんで?」
「……」
「……なんで、あんな綺麗な髪だったのに」
「それは……」
「……」
 違う、本当はこんな事言いたいんじゃない。
 本当は、どうしてオレのところに来てくれなかったのと聞きたかった。
 隼人の、唯一オレが触れられる場所。
 これはおかしい。独占欲、あるいは執着心。そんな抱く必要のないものを目の前の子に抱いてる。
 そんな、自分だけのものにしたいだなんて、まるで、それは、
「……失恋、した、からかな……」



 茶化すように笑う隼人の顔を見て、胸がちりちりと痛んだ。


   ああ、これは、
「……」
 恋だ。
 オレは目の前の男の子のことが、好きなんだ。
「そう、なんだ」
「あはは……」
「……なら、さ」
「……若里さん?」
「―――オレと付き合ってみる?」
「……え」
「……その、おためしでいいから」
「……な…んで」
 困ったように目を見開いた隼人。それに対して「好きだから」と口にした。
「……っ」
 声に出した想いは自分が考えていたよりもずっと馴染んだ。
 好きだ。
 目の前の子を自分だけのものにしたい。ただの客と店員だけの関係を変えたい。
「嘘」
「嘘じゃないよ」
「だって」
「だって?」
「若里さん、彼女いるし……」
「いないけど」
 なんでそんな事になるんだ?と思って首を傾げる。彼女なんて生まれてこの方一度だっていない。
 なのに、どうしてそんな、
「この前…」
「この前?」
「女の人と歩いて」
「おんなのひと?」
 誰だ、と思って隼人の言葉を聞く。女友達とすら最近歩いたことないけど……
「いつ?」
「こ、この前の土曜日」
「土曜?」
 この前……って隼人が来てくれたっていう日か。土曜、土曜…あ……
「母ちゃんのこと?」
「え……かあちゃ…?」
「そう、うちの母親」
「え、うそ、だ、だって…どうみても、20だ…え?ええ?」
「……」
 なんで皆そんな反応するんだろうか。
 普通に母ちゃんなんだけど。顔だってよく見たら似てるし。
 っていうか……もしかして、
「なぁ、隼人」
「…わ、わかざとさん?」
「もしかして、隼人の失恋相手って」
 そうであってほしいなと思いながらオレはドキドキさせながら尋ねた。
「オレ?」
「……っ」
 顔を真っ赤にさせた隼人は慌てて顔をそむけようとするけれどもその前に両手で頬を固定した。
「……うっ、うぅ……」
 やっぱり切り過ぎてて、あんなに可愛かった髪の毛は酷い事になってる。
 これも可愛いけどやっぱり、好きな子のもっと可愛い姿を知ってるだけに悔しいし、そうさせたのが自分だなんて腹立つけど同じくらい嬉しかった。
「隼人」
 そっと額にキスしながら名前を呼べば隼人はどうしようもなく恥ずかしそうに目を潤ませた。
「……だ、だって」
「うん」
「はじめてあった時から、ずっと格好良かったから」
「……なんだ、そんな初めから両想いだったのかよ」
「え」
 ならもっと早く気付いて告白しておけばよかっただなんて思ってしまったけれどもでも、それはおいおい取り戻せばいい。
「なぁ、ハヤト」
「……っ」
「改めて言う、オレと付き合って」
「……」
「二人で幸せになろう?」
 隼人の眸に透明な膜が貼られてゆっくりと破けていく。
 ああ、なんて綺麗なんだろう。
 



 その可愛い唇がどうかオレにとって良い言葉を出してくれたらいいのに。
 そしたら、自分のものを重ねて、もう不安になんてならないように何度だってするから。



 だから、どうか、


「オレは―――













「あれ、隼人ちゃん」
「こんにちは」
「相変わらず可愛いね」
「お前、隼人に色目つかうな」
「あはは…」
 兄貴の友達に言われて、隼人は微笑んだ。
「あれ、隼人ちゃん」
「はい?」
「髪の毛切った?」
「はい、格好良いですかね?」
「格好良いっていうか―――」
 何か言いかけて、友達は兄貴に何故か軽くはたかれた。
 何だろうかと思いながらも「ハヤト、行くんだろ」と言われて大きく頷いた。
「いってきます!」
「って〜〜秋山、お前過保護だな」
「あいつをいじめていいのは俺だけだ」
「ブラコンって知ってる?」
「ブラコンなんかじゃない」
「…ふぅん」
「にやにや笑うな」
「にしてもさぁ」
「うん?」
「隼人ちゃん、あんな服持ってた?」
「…………は?」





 靴ひもをぎゅっと結んで、踵を二回鳴らしてステップを踏むように足取りは軽い。 「…は、ハルナ!」
「ハヤト!」
「ごめん、待った?」
「ううん、今来たとこ。っていうかその服着てくれたんだな。凄い似あう」
「ハルナの趣味がいいからだよ……」
 そう言って誰にも見てない事を確かめられてちゅっと額にキスされた。
「……っ」
「なぁ、ハヤト」
「うん?」
「今日はどこに行こうか」
 そう言って手を握られて歩きだした。
 すこしずつ景色が変わっていく、さっきまでも綺麗だった筈の世界がもっと眩しく見える。
 この人と一緒にいると何気ないものまでこんなにも眩しいのだと、何気ない事も、言葉も、物も幸せなんだと思い知らされる。
 繰り返しが続く平凡な毎日に見えたって本当は違うんだって。
 きっとこれからも迷う事も悩む事もあるけれど、それでも、この人に相応しいだけの自信を持って、涙と笑顔の隙間をゆっくりと埋めていけるだけの大人になりたい。
 ハルナがくれたものはちょっとだけ大人っぽかったり自分に似合わないんじゃないかと思うけれどその度に似合うって言ってくれるから。
 昨日の俺よりも少しでも今日は輝いているんだって思いたいから。
 だから、俺はこの手を握ってしっかりと一歩一歩歩いていく。



「ハルナ」
「うん?」
「だいすきだよ」



 この人に似合う自分になるまで、 「ところで、ハルナ。今日はどこにいくの?」
「え、あの」
「うん?」
「母ちゃんがハヤトに会いたいっていうからさ…」
「え!?」


 ゆっくりと探していこう。ハルナの手を握って。
 絶対にこの手は離さない。





 Twitterのフォロワーさんからおかりしたお話です。
 美容師春名と隼人が恋に落ちるまで、という内容だったんですが考えていた内容とどんどん変わってしまってまさにしょぼんなべくとる〜みたいな感じになってしまいました。
 受け取って頂けるとありがたい限りです!

 タイトルは最後の最後まで考えたんですが「彩溢れる世界」を二人はこれからも紡いでほしいなと思って、I'veから「Color of Happiness」というタイトルをつけようと思ったんですが合わないな…と思って
 ふと林原めぐみ様の同タイトルを思い出してつけさせて頂きました。
 最後の内容は歌まんまですね。MEGUMIさんことめぐ姉時代なので本当に彼女の書かれる歌詞は凄いなぁ心に残るなぁと思いながら自分も勉強しなきゃなと思います。
 書かせて頂いてありがとうございます!!