「隼人くん」
「……」
「どうしたのかな、具合でも悪いのかな」
「別に……」
 どうして自分はこんなところにいるんだろう。
 どうして。
 何度自答自問しても答えなんて見つかるはずない。
 初めは本当に些細な事だった。


「君がHigh×Jokerの秋山隼人くん、だよね?」
「は、はい!」
 プロデューサーに連れられて若手番組ディレクターだという人物に挨拶に行った時だった。
 挨拶が終わって、それじゃあ次の番組はよろしくお願いしますと言うと60歳くらいの御爺ちゃんのようなディレクターは孫を見るような眼で俺達をみてにこりと笑ってくれた。
 頑張ろうと思って、プロデューサーについて帰ろうとしたときだった。
 いきなり若手の偉そうな人に話しかけられたのは。
「で、神速一魂の紅井朱雀君」
「お、おお!」
 最初は優しそうな人だと思った。
 清潔感のある、まじめそうな人。

「はい、うちのアイドルの中でも高校生ユニットという事で勢いがあるんですよ」
「あはは、315プロさんはJupiterといいDRAMATICSTARS、もふもふえんといい凄いメンツですからね」
「……っ」
 朱雀と顔を見合せて、プロデューサーに褒められてると嬉しくて顔を合わせた。
「……どうですか、うちの番組にも」
「……っ」
 プロデューサーの顔を見て、嬉しい、出たいと言おうとした。
 しかし、プロデューサーの顔は何故か目が笑っていなくて、
「申し訳ありませんが、High×Jokerと神速一魂はまだ××さんの番組に出るには早いので…」
「うーん、そうか」
 残念という彼の言葉に俺も心の中で同意していた。
 どうして?と思いながら、プロデューサーに「二人とも帰ろう」と言われて慌ててついていく。



「なぁ、プロデューサー!」
「どうしたの、朱雀」
「なぁ、なんで断ったんだ?」
「……」
 タクシーに乗った途端、朱雀は心底知りたかったようですぐさま尋ねた。
「うんうん、いいチャンスだったんじゃないの?」
「……ああ、あの話ね」

「い、いや、プロデューサーに逆らうつもりじゃねえんだ、ただ……」
「あの人」
「……?」
「嫌な噂があるんだよね。目をつけたアイドルに手をつけてるとか」
「手をつけて…?」
 そう言って朱雀と俺は首をかしげた。プロデューサーは少しだけ困りながら、「枕営業」と呟いた。
 やっぱり解らない。
「俺達、まくらを売ったりしないよ?」
「オレ達、アイドルだろ??」
 なんでだろうと思いながら尋ねるとプロデューサーは頭を抱えながらでもしっかりと言った。

「……えっち」




「「え」」
「あのプロデューサーさん、男女問わずに可愛い子はそういういかがわしい事して、最終的にボロ雑巾みたいに棄てるって噂があってね」
「そ、そんな……」
「いや、さすがにそれは…」
 といいながら俺も朱雀もそんな話とは疎遠だったから想像するだけで顔を真っ赤にさせてしまう。
「だって、女の子じゃないし…」
「そ、そうだぜ」
 そんな事はないんじゃ、と思っていると「そんなことないよ!」とプロデューサーは大声を出した。
「隼人も朱雀も、勿論此処にいない春名も旬も夏来も四季も玄武も私にとっては可愛いよ」
「「…プロデューサー!!」」
 なんだか感極まって抱きつくと、「二人ともこらこら」と言いながら頭を撫でてくれた。
「……まぁ、ちゃんと気をつけるんだよ」
 そう言うプロデューサーの言葉に大きく頷いて、「プロデューサーがそう言うなら」と思っていた。
 ちゃんと、覚えてたのに。


 それからしばらく経過して、
 High×Jokerの仕事も順調になってきて、その度に
「また来てますね、あの人」
「え?」
 旬に言われて気づいた。あの人がこっちをじっと見ていた。
「…偶然じゃない?」
 プロデューサーに言われた事を思い出しながらもそんなまさかと思った。それは俺自身がみんなに言うのを戸惑ったのもあるし、自分達がそんな目で見られているという事を否定したかったからかもしれない。
「……ハヤト」
「ハルナ?」
「何やってるんだ、行こうぜ」
「う、うん……」
 恐くなってどうしようかと思っていると、俺の手をそっと取って、春名と一緒に歩きだす。
 春名は一瞬、あの人をみたが何を思ったのかは解らない。
 それ以上に春名に肩を抱かれて胸が高鳴っていたからだ。
 この頃、俺は誰にも言えない春名への想いを自覚して想い悩んでいた。
 春名と一緒にいると嬉しくて、春名の顔を見ると胸がどきどきして、春名の傍にいられるだけで幸せなのに切なくて苦しかった。
 届かない恋を抱いていた。
 時折見せる春名の笑顔がさびしそうで、その顔を見る度に心から笑った顔が見たくてたまらなかった。春名に貰ったいっぱいの優しさに比べたら俺の出来ることなんてほんのわずかだけれどもそれでも春名に少しでも色んな事をしてあげたかった。
「ハヤト、疲れただろ?」
「う、うん」
「ドーナツあるからな、一緒に食べようぜ」
「うんっ」
 笑ってドーナツを渡してくれる春名。
 その春名の顔を見ているだけで胸がいっぱいになるのを感じた。
 春名が笑う姿が好き。
 春名が悲しむ顔なんて見たくない。
 春名が少しでも楽しい毎日を送ってくれたらどんなに幸せだろう。
 春名が、傍にいてくれたら、
 でも、そんな気持ちは押しつぶされるようになっていった。



 High×Jokerが売れると同時に、アイドルとバンドという二面性がある俺達はどちらかというとアイドルとしての自分達の方が支持されるようになっていった。
 バンド活動が置き去りになっていって、皆モデルや俳優業、タレントのような活動が増えていった。それだけじゃなく、ユニットとしても皆バラバラになって、ソロの活動が増えていった。
 この頃、春名は俺達よりも、他のユニットの人たちとの活動の方が増えてきていて、せめて休日くらいは、と思いながらも、甘党連合の人たちと喫茶店にいったり、カフェテリアにいったりして、俺と春名の距離はどんどん離れていった。
「……ハルナ、嬉しそうだね」
 それでも、どうにか時間を持ちたくて、こうして仕事の合間、例えばそう、学校と事務所までの距離とか。
 俺は春名と一緒に少しでもいたくてこうして少しだけ歩幅を小さくして1分でも一緒にいたいなと思いながら隣を歩いていた。
 それだけで、本当に幸せだった。
「ああ、巻緒と英雄さんと朱雀と4人で甘党連合で番組もてるんだ!!」
「……」
「ハヤト?」
「う、ううん、何でもないよ。良かったな、ハルナ!」
 春名が笑ってる顔が幸せ。
 たとえ、その隣に俺がいなくったって。
 どんどん俺の居場所なんだって頑張って作ったその隣が誰かに奪われたって良かった。
 そう、思うしかなかった。
「ああ、それで、ハヤト」
「うん?」
「もしよければ、一ヶ月後」
「一ヶ月後?」
「そう、一ヶ月後、ドーナツ展があるんだって」
「ドーナツ展」
 なんだろう、春名の為にあるようなその催しは、と思いながら春名の言葉を聞いていた。


「一緒に、行かないか?」
「え…」


「ほ、ほら、最近あんまり一緒に過ごせなかったしさ!ハヤトさえよければ…」
「い、行く!!」
「……っ」
「行きたい、行こう、ハルナ」


 あわただしく言えば、春名は嬉しそうに笑った。
 その笑顔と約束で気分が高揚した。   


 うれしい。春名と一緒に二人で、そう思うと嬉しくて嬉しくて、ギターの音も心なしかよいものに感じた。
 ソロ活動の一つのギター番組。
 一緒に共演したギターリストの人も褒めてくれて、俺は嬉しくてついついハイタッチしていた。
  「隼人君、よかったよ!!」
「本当ですか?」
「ああ、そうだ、隼人君一緒に御飯でも食べにいかない?打ち上げをかねてさ」
「僕も一緒に行きたいです。別のバンドの話を聞くのはべんきょ……っ」
「え?」
「っ…」
「?」
 なぜかスタッフさん達が俺を囲んできた。なんだろうか、と思うと
「やぁ、隼人君」
「……××さん……」
「覚えていてくれたんだね」
 にこりと笑って俺に近づいてくる。  おかしい、だってこの人はこの番組とは関係ない筈だ。
 皆が俺を守ろうとしてくれてるのが解る。
「凄いね、最近頑張ってるね」
「っ…」
「何の用ですか」
「隼人君と一緒にお食事でもどうかなって思ったんですが」
「すいません、××さん。隼人君は今から俺らと食べるんで」
「……そうなの?」
「は、はい」
 こくこくと頷いて、俺は皆に守られるようにゆっくりと控室に向かう。
 どうしよう。



 こわい。
 こわいこわい。
 あの人の俺を見る目が、なんだか、恐くて、恐くて怖くて。
 どうしようもなく恐くて逃げたくなった。



 なんで?
 なんで俺?
 どうしよう。
「……」
 俺は震える手で、プロデューサーに電話した。
『隼人?』
「あ、あの……」
 プロデューサーに電話して、全部説明する。
 すると誘われたとおりみんなでご飯を食べてて、迎えに行くからと言われて俺はプロデューサーの指示に従う事にした。
「……」
 皆は解ってくれてて、俺の事を守る様に一緒に御飯へと向かう事にした。
 その日はそのまま何事もなく家に帰る事が出来た。
 それから後も、プロデューサーはとても気を使ってくれて、プロデューサー本人が送り迎え出来ない時は社長まで出てきてくれたくらいだった。


「ごめんなさい、社長」
「なぁに、気にする事はない。私はアイドルをみな、息子のように思ってるからね!」
「息子ですか?」
「ああ、なんならパパとパッショーーンヌをこめて読んでくれても構わないぞ!!」
 おどけるように冗談を言う社長に俺は笑いながら「うん、パパ」と言うと、社長は「ガッハッハッハ」と大声で笑った。
「マネージャーがいなくて本当に申し訳ない。明後日からは山村君を付き添いをお願いしてる」
「すいません」
「なに、山村君も解ってるから大丈夫だよ」
「……」
「それに明日はオフだろう、休み給え」
「はい」
 そうだ、明日は久々のオフだ。
 皆と休みが重ならなくて辛いけど、久々にゆっくりできる。
 それに、明日は春名と―――
 そう思うと嬉しくて、隼人は心が躍った。
 恐い事はもう考えないようにしよう。明日はめいいっぱい春名と遊ぶんだ!
 皆が優しくてよかったと思いながら俺は「それじゃあお疲れ様です」と言って、家の中に入るまで見守ってくれる事務所の人の優しさに甘えながら恐いけれども幸せな毎日を送っていた。



 そう、甘えてた。
 とても、自分は甘かったんだ。








「……」
「隼人くん」
 どこだろう此処はと思った時にはもう遅かった。
「どうしたのかな、具合でも悪いのかな」
「別に……」
 なんだ此処は、と思っても真っ暗で解らない。
 社長が見送ってくれて、家に帰ってお風呂に入って、ベッドで眠って。
 そして今日が来て、朝起きたら母さんに頼まれてポストに新聞受けを取りにいった。
 その瞬間、俺は、目の前のこの男に連れ去られていた。



  「……」  どうしよう。
「ねぇ、隼人くん」
「…なんですか、こんなことして」
 まるで動物ように鎖に繋がれて俺は逃げようともがくけれども全然動けない。
 それだけじゃなく、みれば俺の服は全部脱がされていて、まるでペットみたいされていた。
 どうしよう。
 どうしたら逃げられる?
 春名が、春名が折角約束してくれたのに。
「だって、仕方ないじゃないか。隼人くんの周りにはいつも人がいて遊んでくれないんだから」
「あそ…?」
 何言ってるんだろうこの人は。
 得体のしれない、というより頭がいかれているような発言。
「隼人くん達の作った曲を聞いたよ」
「っ」
「凄い良かった。元気になれるいい曲だね」
「……」
「隼人くんは可愛いだけじゃなく、素敵な曲を作るんだね」
「…っ」
 どうして。
 ファンだといいながらこんな酷い事が出来るんだろう。どうして?
「……どうして…」
「どうしてって」
 男はゆっくりと俺に覆いかぶさるように圧し掛かった。


「……隼人くんが好きだからだよ」
「……そんな」
 こんな事したって好きになんてならない。ましてや俺が何か言えばこの人は終わりじゃないか。
「……隼人くんだって誰にも言われたくないことあるでしょう?」
「…そんなの、な―――」




「若里春名くん」




「…え」
 なんで春名の名前を?
 つい反応してしまったのが悪かった。
「あの男の事が好きなんだよね、隼人くん」
「…どうして」
 どうしてはるなのこと、そう思っていると男の顔が歪んだ。
「…っ」
 気がつけば思いきり頬が殴られてうて、痛いと思うまもなく、次は逆の頬が殴られた。



「……た…」
 痛い。
 なんで。
 何も俺悪い事してないのにどうしてこんな眼に会わなきゃいけないの。
「…ああ、ごめんな隼人くん…」
「……」
「痛いよね、ごめんね、大丈夫だよ」
 何も大丈夫じゃない。
 やだ、こわい。
「うちに…かえして…」
 恐い時って涙も出ないんだと解った。
「それは駄目だよ」
「どうして!」 「だって、隼人くんは僕と一緒にずーっと暮らすんだよ」
「……っ!!」
 その瞬間、ねばねばとしたものが俺のち、ち…―――あそこにかけられた。
 意味が解らなくて戸惑ってると、お尻に指が入れられた。
「…や…」
 やだ、どうして、そんなところ触るんだといいたいけれども上手く息ができなくて言葉がつまる。苦しい、つらい
 そう思ってると、
「え……」
 指だけじゃなく、俺のモノの付け根に変なものがつけられた。
 どうして、って思ってたら、
「隼人くんはね、女の子になるんだよ」
「……なにいって…」
「後ろの孔だけで感じられるようになるんだ」
「……」
 なにいってるのこの人。
 やだ、誰か助けて。
 お父さん、お母さん、兄貴、プロデューサー……
「……っ」
「ああ、それから―――」
「っ」
 それからゆっくりとこいつがぴったりと閉じた壁を割り開いて奥に進む。
 おちんちんの穴を無理やり開けて、
「や、やだ…」
「大丈夫だよ、そのうち気持ちよくなるからね」
「や、やめて…」
 金属の棒を無理やり中へと入れた。
「や、やだ、や、やめ…た、けて…」
「……っ」
 めりっとおちんちんの先端が開かれる。
 痛い、痛くてどうしようもない。
 なんでどうしてこんなこと、痛くて辛くて、まるでやけどしたみたいに痛い。どうして、俺の事好きだっていってこんなことできるの。
 やだ、やだ、
「……っ……たすけて……はるな」
 はるな、と無意識に呼ぶと、
「っ!」
「…」
 男がまた頬をなぐった。
「ああ、隼人くんごめんね。でも隼人くんが悪いんだよ。隼人くんがあんな男の名前を呼ぶから」
「……」
 はるな。
 はるな。
 はるなにあいたい。
 どうして、ねぇ、俺何か悪いことしたの。
 今日、春名に会えるんだって、ドーナツ展いこうって一緒にいってくれたのに。
「……隼人くんも反省してるよね。反省してるからその可愛い口あけて、ぼくのもの舐めて」
「……」
「ほら、可愛いお口でフェラして。フェラしてくれたら、隼人君の可愛い乳首をいっぱい開発しようね」
「……」
「大丈夫だよ、いっぱい時間はあるからね、隼人くん。ずっとずっと一緒にいようね」



 はるな。
 ごめんね、やくそく、まもれなくて。







「オレ、ハヤトに告白しようと思うんだ」
「……」
 隼人となかなか時間がとれないようになって、たまたま一緒に昼ごはんを食べていた夏来に告げた。
「……いいんじゃ…ないかな?」
「そうかな?そう思う?」
 モテたいっていっつも言ってた隼人が男を受け入れてくれるだろうか。ましてや同じバンド仲間だから気を使って無理に、など悪いことばかり考えてしまうけれど、夏来は首を振って「ううん」と言ってくれた。
「だいじょうぶだよ、ハヤトは…」
「そう思うか?」
「うん、それで…どうするつもりなの?」
「あ、ああ、今度さ、ドーナツ展があるからそこに誘って…」
「うん」
「夜ごはんを食べて、それから、」
「それから?」
「か、観覧車に乗って告白しようと思うんだ…」
「……」
「……」
 そう言うと、夏来は首を傾げたがその前に、
「か、母ちゃんが死んだ父ちゃんに告白されたのが観覧車らしくって、それで…」
「ああ……」
 そこまで言うと夏来は納得したようで「いいんじゃないかな」と言った。
「そうか?」
「うん」
「……」
 夏来に言われたなら安心だ。
「でも」
「うん?」
「それって、ぷろぽーず…みたいだね」
「っ!」
 え、ぷ、ぷろぽーず?
 いや、確かにそういわれたら…?
 だとしたら、指輪とか買って、「ハヤトずっと一緒にいて」って言った方がいいのか?
 否、でも…
 そんな事を思いながら、どうせ渡せなくてもいいか!と給料3か月分なんて高い買い物はできなくて、安く売ってる、でも綺麗なオレンジのガラス玉のついた指輪を用意した。
 今はまだこれしか無理だけどいつかいいのが買える時まで待ってくれてて言って。
「……よし」
 隼人が来るまであともう少し。
 隼人、どんな格好でくるだろう。





「隼人くん、隼人くんっ」
「あ、あぁ…」
「可愛い、そんなお尻をつきだして」
「や、やぁ…」
「さっきまで嫌がってたのに、おっぱいだって触られたらこんなに感じるようになって…」
「や、やだ…帰して、あ、あっ……んっ…うちに」






 約束の時間まであと10分。
 俺はどきどきしながら、隼人の事を待っていた。  
 



「プロデューサー!!」
「どうしたの、ハルナ」
「ハヤトが何処にもいないんだ!」
「え……」



 隼人が来なくて、携帯も出なくて、隼人の家に行った。




「春名君!プロデューサーさん……っ」

「隼人のお母さん、どうして…」
「隼人が、隼人がどこにも……」




 泣きながらうなだれる隼人の母親。

 同時に帰ってきた隼人の父と兄によってプロデューサーとオレは隼人が朝、新聞を取りに行った時にいなくなってしまったと聞いた。
「あの子が狙われてるって教えて貰っていたのに私、私……」
「母さんのせいじゃない」
「ああ、悪いのは犯人だろ」

 そう兄は言うものの、プロデューサーとオレの事を睨んでいて、アイドルなんかになったせいだと言外に、その目がいっていた。

「警察には?」
「し、しかし、身代金でも請求されるかと思うと…」
「されない」

「……え」
「されない、と思う」
「……何で解るんだよ」
 隼人の兄の目は身勝手な事を言うなとオレに言っていた。
 オレだって母ちゃんが誘拐されてこんな事を言われたら怒っていたと思う。
 でも、プロデューサーだって解ってる筈だ。


「プロデューサー」
「……ハルナ?」
「オレ、きっと犯人を知ってる」
「……」


「は?お前、どういう……」
「秋山さん」
 プロデューサーが言葉を遮って「申し訳ないのですが、明日まで隼人が帰ってこれなかったら…」と切り出す。
 そして、最後に「警察に電話して下さい」と口にした。
「……プロデューサーさん、どこへ?」
「私も隼人を探します。見つかるかは……保証できませんが」
「……プロデューサー!」
「春名」
「オレも行く」
「……」
「ちょ、待て、隼人を助けにいくなら俺も……」
「だ、だめよ、あなたまで危険な目にあってしまうわ」
「……母さん」
「プロデューサーさん、お願いします。私を連れて行って下さい。あの子が無事で帰って来れるなら何でもします。だから…」
「母さん、辞めるんだ!」
「…でも、あなた」
「おにいちゃんもだ。母さんに何かあったら、隼人が辛いだろう」 「……そうです、ご家族の方は…」
「だから、プロデューサーさん。私を連れて行って下さい。隼人が生まれたときから私はあまり仕事であの子が行きたいという旅行にもずっと連れて行ってあげられませんでした」

「……父さん、それは…」
「駄目な父親です。愛を注いできたつもりでしたが……けれど、私の命に代えても子供は守ると決めています。どうか」
「父さん!!」
「あなた!!いいえ、私が」
「父さんと母さんに何かあったら、隼人が悲しむだろ」
「いいや、ここは―――」



「ダメだって!!」



「……」
「ごめん、あのな、でも、きっとハヤトは家族の誰でも傷つく、と思う」
「……春名君」
「それに……」



 本当は自分だって想像したくない。
 今隼人が何をされているのかなんて考えただけで吐き気がした。
 あの、可愛くて格好良くて真面目で一生懸命でいつだってオレ達を照らし出してくれた隼人。
 友達思いで、涙もろくて、ちょっと怖がりで、好きな事にはとことん最後までやって、つらい事でもけして投げ出さずに最後まで向き合う、その強さがオレは好きだった。
 それが今へし折られそうになっているのに、
 隼人がくれたこの眩しくて綺麗な世界に自分はいるのに隼人が此処にいられないのは恐かった。


「……お前もだろ」
「え」
「隼人、昨日からずっとお前と今日遊ぶんだって喜んでた」



「……」
 その言葉を聞いて泣きそうになった。
 プロデューサーに何か言われて両親は結局頷いた。
 車に乗ると、プロデューサーはオレにも帰るように言ったけれど、オレは首を振った。
 どうしても帰らない、と言うと溜息を吐いて車に乗っているだけの事は許してくれた。
 それから賢に電話して、何か話していた。


 男の自宅だという場所に向かったけれど、隼人は当たり前だがおらず、以前の被害者の子達の情報から隠れ家を幾つか見つけた者の、それでも何も見つからなかった。
 勿論警察には連絡し、High×Jokerの、否、事務所中の皆は落胆した。
 各自、自分達の力で隼人を見つけ出そうとしたが、無理だった。
 恭二など兄に頭を下げてまで探してもらおうとする始末で、大吾もよく解らないが友人に頼んで幾つかの情報は得た者の手がかりはみつからなかった。
 そして一週間。



  「……プロデューサー!」
「ハルナ」
 何か賢から聞いて、駆けだしていくプロデューサーをみて慌てて走ってきた。
「どうかしたの」
「ねぇ」
「……」
「オレも連れて行ってよ」
「……何言って」
「行くんでしょ、あの男のところに」
 そう言うとプロデューサーは少しだけ、ほんの少しだけ動揺した。ああ、やっぱりな、と思った。
「あいつ、隼人の事いつも変な目で見てた」
「解ってる。だからこれ以上ないほど注意してたのに……」
 私のミスだね、と呟くプロデューサーに「そんなことない」とオレは言うほかなかった。
「春名」
「……」
「多分、隼人にとって見られたくないところを見る事になると思う」
「……絶対無事って言わないんだな、プロデューサーは」
「それは、奇跡に近いかな」
「……」
 ごめんというプロデューサーに「ううん」とオレは答えた。
「下手な嘘よりも、残酷な真実の方が嬉しい」
「……」
「で、どこに向かってるの?」
「……元々、あの男をゆるぶる為に社長のツテを頼って包囲網はめぐらせてた」
「……いつのまに」
「春名はもう大人だから言うけど、薬とか売春とかそういうのじゃなく、臓器密売をしてたみたい」
「臓器密売…」
「調べたら、弱小事務所のアイドルの子が何人か行方不明になってた」
「……っ」
「男女問わず、中学生から高校生くらいの子」
「……っ」
「大吾とか、タケルにも声かけてたしね」
「……っ」
「二人に話聞いたら、三人がレギュラーのゲーム番組にも表れて三人”揃って”誘われた」
「……それって」
「タケルは強いし、大吾は強い上に護衛がいるしね」
「……プロデューサー、オレ」
「……」
「そいつのこと、殺しちゃいそう」
「……それはないよ」
「プロデューサー」
「春名があいつを殺そうとしたらその前に私があいつを殺すから」
「……」
 そう言って、プロデューサーがじっとオレの目を見た。
「春名」
「うん」
「私は君達のプロデューサー、だからアイドルを守るし、隼人は勿論君だって同じです」
「うん、知ってる」
「だから、連れていけない」
「……わかってる、わかってるよ、プロデューサー」
 わかってる。
 全部だから言ってくれた。
 下手したら命がないかもしれないってことも、オレも帰ってこれないかもしれないって事も。
 そして、
「でもね、オレも男なんだ」
「……」
「オレさ、ハヤトの事好きなんだ、アイドルになるずっと前から」




 だから、




「ハヤトの事、オレが守りたいんだ」


「……ハルナ」 「プロデューサーがおしえてくれないなら、オレついていくよ。そっちの方が危険じゃないの?」
「……」
「なぁ、プロデューサー」
 じっと見つめてどれくらい時間が経っただろうか。
 プロデューサーは仕方ない、と折れたようで「車に乗りなさい」とだけ言った。そして、、それから「自分が食い止めるから春名は隼人を連れ出す係ね」とだけ言って黙ったまま車を走らせ、やがて一軒家の前に止めた。
「ここ?」
「そう」
「ハルナ」
 プロデューサーは携帯電話を鳴らす。どこにかけているんだろうかと思うと、
「すいません、救急車ですか?」
「えっ!」
 まさかの119だった。
 え、なんでと思っていると、
「…ええ、傷だらけで……脈はあります…AED、探しますね…ちょっと電話おきます」
「……プロデューサー?」
「あ、住所は―――」
 そう最後まで言ってからプロデューサーは春名に携帯を渡した。
「……」
 そして、何かを手にして自然に一軒家へと向かった。
 何度も何度もピンポンを鳴らす。
 煩わしい程に。
 しかし出てこようとしない。
 仕方ない、とプロデューサーは手品かのように相手の扉を開けた。
「え……」
 チェーンはかかっていないようだった。
 プロデューサーは春名の手まねきして、それから家の中へと入る。
 ずかずかと相手の家に土足で入り込んだ。
 プロデューサーさすがにやばくない?と思ったが特に気にすることなくプロデューサーはオレから電話をとって、話ながら二階へと向かう。
 迷うことなく一番奥の部屋へと行き―――そして、
「……は?誰だ、お前っ……僕たちの、ぼくたちのしんし―――」
 小さな箱を男にあてた。
 男は倒れてぴくぴくと痙攣する。でも、そんな事はどうでもよくて、


「……ハヤト!」
「……」
 目を覆いたくなるような、好きな人の姿があった。
「…ハヤト、ハヤト、ハヤト」
 そっと頬を撫でれば、隼人は遠い目をしていたが、ゆっくりとオレを見た。
「……はる、な?」
 そして、オレの事を見て、一瞬笑って、「どーなつてん、いけなくて……ごめんね」と呟く。
 その姿にオレは相手の男を殺したくなった。殺して、隼人がされたこと全部何倍にもして返してやりたい。
 でも、それでも、
「ハルナ!」
「……っ」
 プロデューサーに言われてた通り、オレはハヤトを抱きかかえた。
 自分の着てるパーカーをかぶせて、鎖をちぎりたかったけれど、とりあえず此処にいる方が危険だと思って走り出す。
 市販のスタンガンなんて数秒しか意味がない。
 痺れて動けなかったようだが、男は隼人を抱きかかえるのをみるとオレを追ってこようとした。
「待て、お前、ぼくのはやとくんを、はやとくんをかえせ、はやとくん、はやとくん、はやとくん……っ」
「ハルナ!」
 振り返らずに走った。
 だが、男がプロデューサーを刺すのが見えて一瞬止まる。しかし、止まるな、とプロデューサーが言った。
 プロデューサーが男の足をつかむのが見えた。しかし男が何かを持ってプロデューサーの事を殴る金属音がする。
 プロデューサーに何かあったら、と思ったがそれ以上に隼人を奪われる事の方が怖い。
 大丈夫、外に出たらすぐに誰かを呼ぼう。
「かえせぇ…」
「……っ」
「かえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせかえせ」
 男がそう言いながら走ってくるのが聞こえる。
 後を振りむきたくなるが、振り向いたらきっと立ち止まる。
 足音はすぐ近く。
 たった200mもない、数秒の追いかけっこ。
 隼人を抱きかかえていたから、
 そして、家の外を出た瞬間、


「すいませんっ!」
「……あ」


 プロデューサーが呼んでいた、救急車がやってきた。


 地獄が終わったのだ、と思った。
 しかし、オレは知らなかった。


 本当の地獄は隼人にとって此処からだったんだって。  
 

 あれから、オレは春名とプロデューサーに助けられて病院に入院していた。
 何があったのか、どうしていたのかは両親は聞かなかった。
 事務所に人達はかわるがわるやってきて、四季も旬も夏来も俺を抱きしめてくれた。
 皆優しくて、眠りなさいと皆優しくしてくれた。
 犯人はつかまったんだと言われて初めは恐くてたまらなくて、両親は一緒に泊まると言ってくれたけれども、恐かった。
 だって、お母さんもお父さんも兄貴も知らない。
 俺の、あんな、
「……」
 そこまで考えて、誰が俺を助けてくれたのか思いだす。



 あの時、もう人形みたいになって、痛みも苦しくも感じなくて、ただ感じるだけだった時、春名が―――
 そう考えたら怖いはずなのに、俺は、
「……っ」
「ハヤト、どうかしたの?」
「う、ううん」
 いやなのに、もうあんなことしたくないはずなのに、おしりの、おくが疼いて仕方なかった。  



『はやとくん、おしりにちょうだいっていってごらん』



「……っ」
「ハヤト、具合悪いの?」

「う、ううん、大丈夫…」
 そう、大丈夫。
 お尻の奥、ひりひりする。強くそこをついてほしい。辛い、痛い。
 でも、やだ。
 誰かに頼めばいいのかな。
 だけど、だけど、もう好きじゃない人に―――



「あのさ」
「ハルナ?」
「ハヤト疲れてるみたいだし、今日は帰ろうぜ」
「えー、でもハルナっち……」
「そうですね、今日はお暇しましょうか」
「うん」
「……ハルナ」
「それじゃあ、な、ハヤト」
 やめて。
 ハルナに触られると余計体が熱くて、優しいから、ハルナがお願いしたら俺の事を抱いてくれるんじゃないかと思ってしまう。
 この疼きを止めて貰いたくなる。
「……お母さん」
「隼人、どうかしたの?何か欲しいものでも…」
「俺、大丈夫だから帰っても…」
「駄目よ…面会時間ぎりぎりまではいさせて?」
「……」
 そう言われて、隼人はどうしたらいいのか解らなかった。
 辛い。
 母さんが帰ると同時に俺はいやいやながらも、自分の尻に手を伸ばした。
「……んっ……」
 ずっと男のものを受け入れていたソコは自分の指をどんどん飲み込んでいく。抵抗なんてひとつもなくて必要以上に熱いそこがまるで待ち望んでいたかのようにひくつくのを感じた。
 何をしてるんだろう。
 四つん這いになって、枕に顔を埋めて、尻を高く上げて、こんなはしたない格好。
 ぐじゅぐじゅと水音が聞こえる。
 腰が動くのが解る。指が動く。
 これだけじゃ足りない、指を大きく動かすけれども奥まで届かない。
「……っ」
『はやとくん』
「や……」
 やだ、嫌なのに。
 なのに、どうして、こんな
「……はるなぁ……」
 たすけて、たすけてほしい。
 でもこんな姿見せたくない。いっそ諦められたらいいのに、俺はまだハルナの事が好きで、どこかあり得ないのに、少し前に戻れたらって願ってる。




 大丈夫だって自分に言い聞かせて、でも、それでも全然だめだ。
 自分はきっと元に戻れないんだ。
 お尻がかゆくて、ついつい自分で弄ってしまう。それでも達する事が出来ない。いっそ、あの男に入れられたみたいに道具でも入れたら別なのかもしれないけれど、そんなの病院で手に入れられないし、手に入れる方法なんて俺は知らない。
 誰かに頼めたらいいのかもしれないけれど、誰にもバレたくない。
「ハヤト!」
「ハルナ」
「えへへ、今日は誰もいないんだな」
「……うん」
「ハヤト?」
 体だけは心を裏切って治っていってもうすぐ退院だって頃になると少しずつ皆来る時間が減っていった。
「母さんも今日は来れないらしくって」
「そうなんだ」
「……うん」
 ハルナに言われて頷いた。
「あのさ、ハヤト」
「うん?」
「ハヤトさえよければさ」
「うん」
「ドーナツ展、落ち着いてから行かないか?」
「……ハルナ」
「は、ハヤトさえよければなんだけどさ……」
「……ごめん」
「……」
 行きたかった。
 本当はハルナと一緒に行きたかった。
 あんなに楽しみにしてたのに。
 でも、今の俺は行けない。ハルナと一緒にいることなんてできない。
「ハヤト…」
「……っ」
「否、気にしなくていいんだ」
「ち、ちが……」
「ハヤトだってまだ心の整理がついてないだろうし」
「っ……」
「落ち着いてからさ、どこかみんなで……」
「ハルナ」
「……ってハヤト?」
「……違う」
「え?」
「俺、ハルナが思ってるような、理由じゃない」
「ハヤト…?」
「……俺、あんなことされたのに」
「……」
「あんなことされたのに、欲しくて、欲しくてたまらないんだ」
「え…」
「ハルナ……」
「……」
「俺、ずっとハルナの事が好きで」
「え」
「好きで、ハルナみたいに格好良くなりたくて、モテたいって思ってたのかと思ったけど段々、ハルナが女の人にモテるのが辛くなってきて」
「…っ」
「それで、ああハルナの事が好きなんだって。でもそばにいれたら、それで良かったのに」
 そう、傍にいれたら良かった。
 こんな事、いうつもりなかったのに。
 なのに、今は。
「すごく、体が熱いんだ」
「……」
 でももうこんな体になってしまった。
 ハルナの傍にいるとえ、えっちな気持ちになってしまうような、こんなへんなやつ、一緒にいられない。
「あの男に、されて、嫌なのに気持ち良くて」
「ハヤト、もう」
「怖くて、嫌なのに、思い出しちゃって、それで、ハルナに抱かれたらって思って……」
「……っ」
「気持ち悪いよね、俺、あいつの同じこと思ってる。ハルナに抱かれたいって思っちゃってる、だから―――」
 だから、ハルナと一緒にいられない、そう言おうとした瞬間、ハルナに強く抱きしめられた。



「…ハルナ?」
「オレも」
「え?」
「ハヤトのこと、ずっと好きだったよ」
「……え」

 そう言って抱きしめられた。



「嘘」
「嘘じゃない」
「……」
「オレも、アイドルになる前からずっとずっとハヤトの事が好きだった」
「……」
「ずっとハヤトに相応しい男になりたくて、傍にいたくて、諦めようとしたけど無理だった」
「で、でも」
「……ハヤト?」
「それは、俺がこんなになる前でしょう?」
「……」
「俺、もうこんな汚れたからだになっちゃって…」
「ハヤトは綺麗だよ」
「……嘘」
「嘘じゃねえって、今だって、ほら―――」
 そう言って、ハルナは俺の手をとってハルナのモノを掴ませた。
「……勃ってる」
「だって、ハヤトがそんな煽るようなこというから」
「……」
 前なら、そんなこと言われたら恥ずかしかったのに。ううん、今だって恥ずかしいのに、ハルナのものが見たくて見たくて仕方なかった。
「……ハルナ」
「うん?」
「お、おろしていい?」
「……回診来るんじゃねえの?」
「先生、さっききたし、次看護師さんがくるの、18時だから」
 そう言うと、頭をなでられた。
 ベッドに誘って、二人で入ると我慢できなくて震える手でハルナのを出した。俺はまるで特上のプレゼントを貰ったみたいにドキドキしていた。
「……ハルナの、すごい大きい」
「まじまじと見るなよ」

「……だって」
 あの男のものよりもずっと大きくて、匂いを嗅ぐと凄く濃い匂いがした。
「……ねぇ、ハルナ」
「うん?」
「舐めていい?」
「ハヤトがしたいようにしていいぜ」
 どくどくと脈うつそれに俺は舌を這わせた。
「……んっ……」
 しょっぱいような甘いような何とも言えない味がした。でも、ハルナのなんだ!って思うとなんだか美味しく感じるから不思議だ。
 もっと味わいたくて、舐めるだけじゃなく、口に含むとただでさえ大きいそれがさらに大きくなった気がした



「……ん、んんっ…」
 あのハヤトが、あんな事件があったとはいえ、オレのちんこをしゃぶってる…。
 目の前の現実が受け入れらなくて、それだけで頭がおかしくなりそうなのに、
 オレの先走りするチンコをハヤトの可愛い真っ赤な舌が亀頭を舐める。上目遣いで不安そうに見つめてくるその姿が可愛すぎて辛い。
「……んっ……んんっ…」
 厭らしい顔をして、あのハヤトが蕩けた顔をしてもう我慢できないとい言わたげにチンコを咥えた。
「はぁ……んっ…んん」
 舌を絡めて、喉の奥まで行っては、亀頭まで顔を動かして上下に顔を振る姿に、こんな風に隼人をしてしまった男を心底恨んだけれど、それでも心底幸せそうに咥えるその姿は自分だからだ、と思うと嫉妬も少しだけ和らぐ。
 殺してやりたいほど憎いのは変わらないが、そんな事をしようとしたら最後自分を守るために誰かがきっと手を汚すだろうからそれはしないけれど。
 ましてや、目の前の隼人を置いてそんな事は出来ない。
「…ハヤト」
「……んっ、んん」
 よく見るとチンコをしゃぶってるだけで隼人のものが勃ちあがってるのが解った。興奮してるんだ、と思うと更に目の前の隼人への愛しさが溢れでる。
「っ…」
「はぁ……ハルナ、きもちいい?」
 そして、口を離して上目遣いで聞いてくる。気持ちよくない筈がない。
「気持ち良いよ」
「本当?でも……」
「うん?」
「ハルナ、逝ってない……」
 そう言って、そっとギターを弾く、細い、けれど可愛らしい隼人からは考えられないような固い指先がそっとオレのものを上下に抜く。
「……だって、ハヤトの孔に早く入りたいからさ…」
「ハルナ…」
 そういえば驚いたような、けれど嬉しそうに隼人は笑って、たまらずそのままベッドに押し倒した。
 ああ、ここ病院なのに。
 誰かにバレたらどうしようだなんてもう考えられない。
 それにハヤトを救ってやれるのは自分だけなんだ。
「ねぇ、ハルナ」
「ハヤト?」
「あ、あの…」
 そういって、恥ずかしげに隼人の脚がゆっくりと左右に開かれる。そして、おそるおそる隼人の肛門が隼人の指によって開かれた。
「……ここが疼いて切ないんだ」
「うっ…」
「ハルナ?」
「い、いや、大丈夫」
 そんな切なげな眼で見ないでくれ隼人。
 経験は正直あるけれど、それでも好きな子が積極的な姿って本当の本当に強烈だなと春名は隼人の色気にくらくらした。
「ハルナ?」
 そっと隼人の孔に自分の今にもハチきれそうなものをあてがった。すると、隼人の熱のこもった声が口から洩れる。
「…はるな…」
「ごめん、ハヤト、ゆっくりするから」
「う、うん」
 本来ならば挿れるための器官じゃないそこは一週間という短いようで長い地獄のせいか、生理的に男性器を包み込むかのように柔らかい。腸壁が歓迎するかのようにオレのものを思いきり締め付けるがそれでもゆっくりとハヤトの奥を目指す。
「…あ……ハルナの……おっき……」
「っ…いたかったか?」
「ううん、すごく……きもち、いい、……よ?」
 ふわりと笑うハヤトの顔。
 結局、何をされたってハヤトの一番大事な根元は変わらない。
「……ごめん、ハヤト」
「ううん、うごいて?オレの中、ズボズボして?ぴゅって、ハルナのせーえき、だして?」
「っ……」
 そんな事を覚えさせられて……とやっぱり悲しくなるような、でも、隼人が幸せそうに言うから喜んでしまう自分が嫌で、それを忘れるかのように、隼人の腰を掴んで自分の腰を上下に振る。
「あ、あぁ…や……そんなにされたら……あっ、ふち、フチがめくれちゃ…」
 ずぼずぼと激しい水音が部屋に響き渡る。
「はるな、はるなっ」
 必死で抱きついてくる隼人が好きで、ああ、やっと帰って来たんだと今更実感した。
「……あ、や…はる―――」
「……っ」
 そして、隼人に奉仕されてただでさえ限界だった自分は思いきり絞めつけられて、
「……っは、ごめん、ハヤト……」
「……ううん」
 そっと頬を撫でながら謝れば、隼人は笑って「ありがとう」と言ってくれた。



 たまらなくなって、隼人にキスすると隼人は驚いて、でもその後すぐに笑った。
「ハルナ、あのね」
「うん?」
「キスだけはしてなかったんだ」
「……え」
 それから「えへへ」と更に嬉しそうに笑うその姿を見て、春名は涙が出るほど目の前の子が好きだと改めて思った。











 
「……それじゃあ、帰りますね」
 あれからしばらく経って、退院して普通に過ごせるようにハヤトはなった。
「うん、大丈夫だよ!」
「ならいいんですけど…」
「うん、ハルナに送ってもらうから!」
「……」
「ハルナ、よろしく……ね」
「ああ、任せておけよ!」
 あれからオレはハヤトと改めて付きだした。その事は誰にも言わないけれど薄々気付いているようだった。
 でも、これだけは気付かれてない、と思う。
「行った?」
「ああ」
「そっか…」
「ハヤト」
「……っ」
「ねぇ、見せて」
 そう言うとおそるおそるハヤトが胸をたくしあげて、その後ベルトを引いて、ズボンが床へと落ちる。
 オレの目の前にあるのは歪な機械―――ピンクのローターが隼人の乳首を挟んでジジジジ…と小さな音を立てて左右の乳首を虐めているのが見える。
 隼人のチンコは勃起したまま、先端に銀の棒が挿入される。けれど、隼人の孔は何も挿入っていないせいで寂しそうにひくついてるままだった。
「……ハヤト、かわいい」
「んっ……んん」
 ハヤトはキスが凄い好きだからまずは触れるように、次は啄むように、最後に舌を絡ませると嬉しそうにした。


 結局、オレは完全にハヤトを助ける事が出来なかった。
 ハヤトの身に起きた、様々に施された調教は隼人の躰を思った以上に蝕んでいて、隼人自身はとても辛そうだったけれども、それでも一つ一つオレは相手に嫉妬しながらも隼人がされてきたことを聞いた。
 そして、嫌なその行為が自分を守っていく為に快楽に、そしてこれからもしていかなければならないのだという事実に隼人は本当に辛そうだったけれども、「全部オレがハヤトにしてやるよ」っていうと嬉しそうだった。



「ハルナにされるなら、嫌じゃないから」


 そう言ったオレの恋人の可愛さはなんということか!
 多分、ハヤトの手を取った時、オレも地獄に落ちた。そうする事でしかハヤトを守れなかった。
 でも、たとえ天国じゃなくてもそれでもハヤトがいるだけで此処は天国なんだ。
「ハヤト、乳首が凄い揺れてる」
「や……」
 舌を耳に差し込みながらそう囁くとそれだけで感じるようでハヤトは腰を震わせた。
 例え間違ってると解っていても、それでも自分達は幸せだ。  




今は亡き裏垢で呟いたネタが元ネタですね。某お方に捧げさせて頂きました。
書いた当時は凄い可哀相だったんですが、今見るとやっぱりぬるいなぁと思います。
書いたの多分2、3か月前だとは思うんですけど。
元々は尿道攻めするはるはやが書きたかったんですがいちゃいちゃなはるはやだとそういう事しなさそうだなと思って書いたというひどい話。
ドMな隼人君なはるはやは未だに増えないから調教される隼人君話があったらこまりに送ってください。